「原田、この問題わかるかー」 「わかりませーん」 面白いくらいに清々しくそう言ったクラスメイトにどっと笑いが起きる。 仕方ないな、と言う風に溜息を吐いて先生は西広くんを当てた。 「じゃあ、西広」 「xにその式を代入して……」 今は授業中、しかもテスト前だからしっかり聞かなきゃいけないのに、私はずっと西広くんを見てる。 あ、目があった。でも恥ずかしいからすぐ目線を逸らしちゃう。 そしてまた見る。ああ、カッコいいなぁ。 「…!」 「えっ!?」 昼休み、一緒にお弁当を食べている親友の優奈に呼ばれて、ふと我に返る。 私がぼーっとしていた原因は、他でもない西広くん…だと思う。 「まーた西広見てたの?」 「……多分。」 「多分ってなにさ。」 だって、自分でも気付かないうちに、無意識に目で追ってるんだもん もっとしゃべれたらなぁ……。優奈は男子と普通にしゃべれて羨ましい。 ふぅっ、と私はため息をつく。それを見ていた優奈の目がキランと光った。 え、何? 「、今日放課後暇?」 「う、うん。テスト前だから、部活ないよね。」 すると優奈は突然「西広ー!」と叫んで、教室の端の方でお昼を食べている西広くん(と野球部の面々)の方に行った。 そして何やら話をして、戻ってきた。満面の笑みを浮かべながら。 「今日の放課後、西広に勉強教えて貰うことになった!」 「えぇ!?うらやましい……」 「何言ってんの!の為にお願いしたんだよ!あたしと栄口もだけど、いい?」 マジで!?!? 「ありがとー!優奈!」 私は親友に心から感謝した。 優奈がいなかったら、こんなこと絶対あり得なかったもん! 放課後3組に4人集まったところで、勉強会スタート。 私はスッゴいドキドキしてた。勉強なんか手に着かないんじゃないかってくらい。 けど、西広くんの教え方は上手で、英語(私にとって最大の敵!)もよくわかった。 彼の魅力をもう1つ見つけられた。 それから1時間ぐらい経って、少し休憩したい頃になった。 「あー喉乾いた。栄口、ジュース買いに行こ。」 「いいよ〜」 優奈は私に軽くウインクして、栄口くんと行ってしまった。 教室に残るは私と西広くんの2人… あれ?2人?2人きりぃぃ!? 「オレらも休憩しよっか」 って西広くんが言ってくれたから、私は「うん」と返事をして、問題集を閉じた。 なんとかその場を持たせられるように、考えて言葉を発した。 「それにしても西広くん、教えるの上手だよね。知らないことなんかない、って感じ。」 「いや、オレが知らないことなんて、たくさんあるよ。」 「例えば?」 「好きな女の子の気持ちとか、かな。」 私はドキリとした。西広くんも、好きな女の子がいるんだ…… それもそうだよね。好きな子がいてもおかしくないよね。 悲しい気持ちを抑えつつも勇気を出して聞いてみた。 「へぇ、どんな子?」 「正直、かわいい。その子の親友は男子としゃべれるんだけど、その子はあんま男子としゃべんなくて。 今日なんか数学の時間目ェ合ったのに逸らされちゃって。」 え?それって…… そこまで言われて分からないほど私だって鈍感じゃないよ…。 「オレのこと嫌いなのかなーとか思っちゃってさー。その子の気持ち、知りたいんだよね。」 西広くんの目はいつもと違って、男の子の目だった。 「だからさ、さんの気持ち、教えてくれない?」 好き。私も好きだよ。 「私は西広くんが、好きです。」 あぁ恥ずかしい。絶対顔真っ赤だぁ。 「うん。オレも。」 西広くんも顔が真っ赤だった。 私が唯一あなたに教えてあげられること、それはあなたが好きだっていう気持ち。 あとがき 友達に先生好きな子がいたので書きました! 先生のキャラがいまいちつかめない…… 2008.2.2 2011.5.12 加筆修正