今日は普通に土曜練の日。
眠い目を擦りながらベッドから体を起こし、朝飯を食いに行った。

リビングに行た弟がおはようも言わずに、せわしそうに話しかけてきた。

「あ、兄ちゃん!母さんと父さん、普通に仕事行ったんだけど、今晩2人でディナーだって。
  あとオレも晩飯友達ん家だから、適当に食っといてって母さんが。」


「おー。」と適当に返事をする。まだ眠くて頭がしっかりと回っていなかった。

何気なくテレビに目をやると、日付が2月2日だった。 
…あれ?もしかして今日オレ誕生日か?いや、もしかしなくても誕生日だ。
部活が忙しくて誕生日のことなどすっかり頭から飛んでいた。
誕生日にオレ以外全員外食とか……


ま、いっか。
部活の奴らがおめでとうぐらい言ってくれんだろ。







  
というオレの予想は見事に外れた。


気付けば空は夕焼けに染まり、部活は終わっていた。
「お疲れ様でしたー!」 という部員の声がグラウンドに響く。

部員誰1人としておめでとうの「お」の字も言ってくれなかった。
なんか期待してたオレが恥ずかしい……




「準太!帰ろッ。」
「あぁ。」

いつも通り、と一緒に帰る。いつも通りの、他愛のない話。

「じゃねー準太!」


あれ?
お前、野球部のマネジだよな?
お前、幼なじみだよな?
お前、オレの彼女だよな? 
なんで何も言ってくれね―んだよ―――!


オレは家に着くと着替えてベッドに突っ伏し、少し寝ることにした。



―――気付くともう6時を過ぎていた。
いつもなら晩飯の時間だ。でも今日は誰もいないから自分でなんとかしなくてはいけない。
どうしようかな……と考えていると、玄関の呼び鈴が鳴った。


ピンポーン…


ピンポンピンポンピンポン…… 




………うるせえっ!ったく…一体誰だよ…
寝起きで少し不機嫌な俺は、重い体を玄関へと引きずって行った。

 
「はーいどちら様…」
「「「「誕生日おめでと――――!!!!」」」」
「おわっ!?」



ドアの前にいたのは・和さん・慎吾さん・利央だった。

「サプライズ大成功だな、!」
慎吾さんがそう言う。

はニヒヒっと笑う。

「さぁ、晩飯食おうぜ〜」と和さん。


え?状況が全然掴めないんですけど。
なんでみんな俺の家にいるんだ?誕生日ってこと、知ってたのか?


「準さぁん。何ポカンとしてんすかぁ。」
「当たり前だ。この状況説明しろ利央。」
「はいはい。実はねぇ…前からサプライズ企画してたんすよぉ。
 で、家族には外食してもらうようにさんが頼んでたんス。」


あぁ…全員外食っつうのはが仕組んでたのか。確かに、家族の誕生日に誰もいないなんて普通おかしいもんな。



「準太!早く来なよ。」
に呼ばれてリビングに行くと、晩飯が並べられていた。
しかも見事にオレの好物ばかりだ。さすが幼なじみ。オレの好みを良く知ってる。


「じゃあ準太の誕生日を祝ってぇ――」
「「「乾杯!!!」」」 


オレたちはジュースで乾杯した。うわ、やべぇ。マジで嬉しい。
飯食って、いろんなこと話して。すっげぇ楽しかった。




飯も大分食い終わった頃に、「んじゃーケーキ出すかー。」と和さん。
「オレちょっと飲み物入れてくるわ。」と慎吾さん。
 
出されたケーキはなんていうか…手作り感いっぱいで… 

「このケーキさんが作ったんスよ!」と利央が加えた。

 
へへへっと恥ずかしそうにが笑う。



「じゃあ電気消して…」
「「「はっぴばーすでーとぅーゆー♪
      はっぴばーすでーとぅーゆー♪
      はっぴばーすでーでぃあじゅんたー♪
      はっぴばーすでーとぅーゆー♪」」」


ふーっとオレはろうそくの火を消した。パチパチパチと小さな拍手が俺に送られた。
綺麗に切り分け、みんなでケーキを食う。


「うまいよ、」


「ほんろにぃ〜?あらし、頑張ってつくったんらよ〜」

っておい。お前おかしいぞ。舌回ってないし。
なんか酔ってるみたいな…


「まさか……これ酒じゃないっスよね、慎吾さん。」
「いやいや……あ!兄貴に頼まれてた酒間違えて飲ましちまった。」
「えぇ――――!?」
とオレが叫ぶなり、ぱたんとが倒れて………


寝始めた。



その後、しばらく経ってもは全然起きなかった。
どうしようかと思う中、3人は帰ってしまってと2人きりになってしまった。
可愛い寝顔だな畜生。無防備に寝やがって。寝息なんてたてて。

襲っちまうぞ?
………なんて考え、この寝顔を見てたら不純なものに思えてしまう。

でも、抑えられない。少しくらい良いよな?今日、俺誕生日だし…。




オレは顔をに近づけ、唇を重ね合わせた。

「んっ……」とが言う。


やべ、起こしたか?なんか恥ずかしくなってきた………
オレ絶対今顔真っ赤だ……… 


「!ほら家まで送ってやるから起きろ!」
「んぁ〜い」


オレはをおぶって家まで連れていく事にした。ってこいつ、また寝てんのかよ。


「準、太…だいすき…ずっと一緒だよ…」


その言葉にドキっ、とするとまた寝息がする事に気がつく。…寝言かよ。
でもこの寝言はオレにとって最高の誕生日プレゼントだった。

オレも大好きだよ、


誕生日プレゼントは、寝顔とキスとI love youの言葉と。













あとがき
準太誕生日夢でした!
誕生日おめでとう!
もし誕生日に桐青のみんなが来てくれたら…
感動して泣いちゃうでしょうね(笑

2008.2.2

2011.5.12 加筆修正