同じクラスのは天真爛漫、人見知りしなくて誰からも好かれている。
俺はそんな部分が好きだったりする。
クラスのリーダー的存在ではないけれども、ムードメーカーだった。


は毎日朝からテンション全開だ。
クラスの奴を見つけると誰にでも笑顔でおはようと一声かける。


「お、はよう…、さん!」
「おっはよー三橋!今日も可愛いなぁ!」
三橋もにはちゃんと挨拶できるみたいだ。

「ー!はよー!」
「はよー!田島ぁ!」
田島に至っては朝からハイタッチだ。どんだけ元気なんだか。


「おはよう。。」
「浜ちゃーん!おっはよー!」
満開の笑顔で浜田に挨拶する。

「はよ、。」
「おは、よ…」
俺には少し口ごもりながらそう言う。…毎日、そう毎日。

やっぱり俺だけ明らかに反応が違う。
なんで俺ん時だけ阿部に対する三橋みたいになってんだよ。
他の男子とは普通に話したりすんのに。
好きな相手に妙な態度を取られていつも俺は気が気じゃなかった。


「…実は心の中では嫌ってるとか。」
「誰が?」
いつものメンバーで昼飯中、心の中で呟いたはずなのに声に出ていたらしく、
浜田にそう尋ねられた。
やばい、こいつらに知られるとまた厄介な事になる。


「いや…っ、別に…」
「何なにィ?何のこと!?」
そうやって話に割り込んで来たのは田島だ。



「誰だか知んねーけど嫌われてないか心配してるんだって。」
あ!バカ浜田!
何勝手に人のことペラペラしゃべってんだよ!

「もしかしてのこと?」
……田島、なんでピンポイントに痛いとこついてくんだよ。
田島って意外とこういう話には敏感なのか?

「はなぁ…」
「たぁーじぃーまぁー!?」
田島が何か言いかけたところでが入ってきた。

いつの間に……俺らの話聞いてたのか?



は田島の肩をがしっと掴み、思いっ切り揺らして
「秘密って言ったでしょー!?」
とかなんとか言っている。

…んだよ、田島とってそんな仲なのか?
秘密とか教える、そういう関係だった訳?


俺はやり場のない気持ちをどうしたらいいかわからなかったから、
「泉、なんか知らねーけど機嫌の悪さ思いっ切り顔に出てんぞ?」
と言ってきた浜田に「うるせー黙ってろ!と当たってしまった。



部活後、提出物を教室に忘れたことに気付いた俺は、取りに行くことにした。
つーか、あんまり周りの奴らとは一緒に帰りたくない気分だった。
昼の事もあったし、特に田島とは

静まり返った校舎内を一人、9組へ足を進めていく。


教室に入ろうとした時、人影が見えた。
よく見えなかったが、俺みたいに忘れ物した奴がいたのかな、としか思わなかった。

それが、だと気付くまでは。


「あっ、泉…」
「よう」


そう言葉を交わした後に、から予想外の一言が出てきた。

「お、お昼のことは気にしないでね…」

…気にするな?
あの先の言葉を知られたくないからじゃないのか?

「本当に何もないか…」
「もしかして、俺が嫌いってこと?」


思っていたよりすんなりと言葉が出てきた。
今まで悩んできたこと。肯定されるならそれはそれで良いと思った。
もう悩まなくて済むから。期待とかもしなくて済むから。

返ってくる言葉を待っていると、驚くことにの嗚咽が聞こえてきた。

泣いてる…?


「ごめんね…そんなこと思ってないよ…田島が言いかけたのは、私は…」

え?今コイツ否定したか?
で、お前は…?

「泉が好きなんだよ…」

……えぇ!?
今自分が心の中で驚いたのか、それとも声に出ていたのか分からない。
だって、俺が好きだって…!?

「でも、俺と話す時だけなんかよそよそしいじゃねーか」
「そ、それは、恥ずかしいからで…」

…つまり俺は、コイツの恥ずかしがり屋の部分を知らなくて、悩まされてた訳だ。
一向に泣き止む気配のないを見ながら、そんな部分もなんだなとか思ったりして。

俺は両手をの頬に添え、親指で涙を拭ってやった。

「泣き止めって……俺もお前が好きだから、な」

俺がそう言うとはいつもの満開の笑顔になった。
いつもみんなに見せている、太陽みたいなその笑顔。

やべぇ、ギャップが可愛すぎる。

それから俺はを抱き寄せて(きゃっとか可愛い声出しやがった)
のこんな部分、他の奴には絶対見せてやらねぇと心に誓った。


笑顔が素敵な君も、恥ずかしがり屋な君も、全部好き











あとがき
ヒロインに翻弄される泉のお話。
つまりはギャップ萌えの話です(違

Thank you for reading!!

2008.12.17

2011.5.12 加筆修正