今日は中間テストの初日。学校は午前中で終わり、部活もなく昼過ぎに電車で家に帰る。 さすがに殆ど人がいない。いつものラッシュ時とは違い、座る座席が選べるくらいだった。 オレは何気なく椅子に腰掛けた。 車内は静かすぎるほどで電車のガダンゴトン、という音だけが響いていた。 電車に乗っているのは俺と同じ学校の生徒や、他の学校の生徒もいた。 きっとテスト期間中なのだろう。 ふと前に目をやると アイツがいた。 ―――なんでアイツがいるんだ―――? アイツっていうのは―中学の時のオレの彼女、だ。 思い返せば告白はアイツからだった。 「榛名くん、好きです。付き合ってください。」 なんてありきたりな言葉で、俺達の関係は始まった。 とはその時ダチとして結構仲良かったし、オレはOKした。 返事を返した時のアイツの表情と言ったら、半分泣きそうだった。 でもそんなに喜んでくれる程俺の事を思ってくれていたのだろう。 他愛のない話をしながら一緒に帰ったり、休日に遊んだり 中学生ながら、不器用ながらオレたちは付き合っていた。 ガキの恋愛と言われれば確かにそうだったが、あの頃、オレたちは確かに幸せだった。 が、そんなある日 部活中、急に膝がカクッと抜ける感じがした。 「もしもし、?」 『何?校門で待ってるよ?』 「わりぃ、今日病気行かなきゃならなくなった。親に迎えにきてもらうから、一緒に帰れねぇ。」 『…わかった。また一緒に帰ろうね!お大事に。』 「おう、じゃあな。」 すぐにまた一緒に帰れる、そう思ってたのに。 しばらくとは一緒に帰れなかった。 半月板損傷 必死にリハビリして治して戻ってきても、監督はオレを見捨てた。 あの時のオレは最高に腐ってた。 その時、一応との付き合いは続いていた。 というか、もう何もかもがどうでも良くなっていた。 から話しかけられても、生返事ばっかしてた。 「でさーそん時先輩がさー…聞いてる?」 「あぁ」 「……元希はさ、最近あたしといても楽しくなさそうだよね。」 「あぁ………え?」 「別れよっか。……うん、そっちの方がいいよ。」 「ちょっと待……」 「今までありがとう、元希。 さようなら。」 そう言ったアイツは笑いながら ――――泣いてた。 路上に1人残されたオレはただ立ちすくんでいた。 クソ。何やってんだオレ。 オレが生返事しかしなくてもアイツはいつも話しかけてくれてたじゃないか。 オレを元気付けようとして。 オレは気付いた。 大切なものを失ったんだ、と。 為す術は、なかった。 その後、お互いに避け合って、中学卒業して、高校は違うところに行って、もう会えないと思っていた。 けれど、今目の前には他の誰でもなくがいる。 気付いてない振りしてても、気付いてるんだろ? 今、オレがこの気持ちを言えば、何かが変わるんだろうか。 はどんな反応をするんだろうか。 言いたい。 言えない。 そんな気持ちの中、電車はオレの降りる駅に着いてしまった。 ホームに降りて、ふとの方を見た。 一瞬、目が合った。 オレは、立ちすくんだ。 あの日と同じように。 言いたかった。 言えなかった。 言えば変わっていたかも知れないのに、 オレは臆病者だから。 あとがき BaseBallBearのSeventeen Romance聞いて書きました ドラマチック聞こうとして借りたアルバム(17歳)に入ってました もう歌詞が泣けます! 17歳最高☆ ベボベ大好き♪ 2008.2.2 2011.5.2 加筆修正